ENC(Electronic Navigational Chart)とは

ここではENCに関する概要と、ご契約手続きまでの流れを簡単にご紹介いたします。

電子海図とは、広義には航海用紙海図をコンピュータによって表示するためにデジタル化された海図を指します。海図を画像として作成する「ラスター方式」と、海図の座標(緯度、経度)を数値化して作成する「ベクター方式」があり後者の方式は「航海用電子海図(Electronic Navigational Chart:ENC)」と呼ばれています。

航海用電子海図は航海用紙海図の内容を、国際水路機関(IHO)が規定したフォーマットS-57 ※1 に基づいて作製されています。
安全な航海に有用な紙海図の情報に加え、補足的情報を含む場合も有り、制作は各国政府機関である水路部が作成ー日本では海上保安庁より刊行されています。

ENCはその対象海域の一つ一つを「セル」と呼び、緯度と経度で区切られた四角形をしています。
その各セル表示にあたっては専用の表示装置(ECDIS)※2 が必要で、希望する地域(セル)ごとにライセンス契約を結ぶことによって利用が可能になります。
セルは以下の拡大表示用の「入港」から、縮小表示用の「概観」まで、航海目的に応じた5種類のデータがあります。

概観(Overview)アプローチ(Approach)
一般航海(General Navigation)入港(Harbour)
沿岸航海(Coastal Navigation)※海外では、停泊・Berthingデータを持つエリアもあります。

またECDISと組み合わせた場合、以下のような利便性が挙げられます。

  • 自船の位置のプロット、航路上の危険海域に対する警報 、レーダ映像との重ね合わせ、海図の自動スクロール
  • 必要海図の自動ロード、表示内容の拡大・縮小、航海記録の保存・再現 等

種別、契約期間と価格

ENCは世界各国の水路部が作成しています。
アジアでは日本をはじめインドネシア /マレイシア /シンガポール等が制作していますが、各国のENC情報をとりまとめた「Primar」という商品もあります。

契約費用は、契約するENCの種類と数量、および契約期間によって決まります。契約期間は3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月、12ヵ月から選べますが、ENCごとに異なる契約期間を選ぶことはできません。
またエリアの追加等も承りますが、残りの契約期間によって取り扱いが変わります。

御契約/更新手順

ENCを利用するためには、下記の装置・データが必要となります。

1.専用の表示装置(ECDIS)別途ECDISメーカー様より購入が必要です。
2.ユーザーパーミットECDISに対して発行されている16進の文字列で、ECDISメーカー様より案内されます。
3.希望されるエリアのセル番号HP、カタログ等をご参照の上、お選びいただきます。

1,2,3に関する情報をお伝えいただき、御見積をご提出ー御契約後、ご利用可能な手続きを致します。
データはCD(複数枚)にて提供され、同時にセルパーミットもお知らせ致します。これはCDにコピープロテクト(暗号化)が施されているためそれを解く為のキーになり、データとセルパーミット(共にCDにてご提供)を、ECDISにインストールすることによってご利用が可能となります。

データの更新方法

海図データは、安全のために最新の状態で使用する必要があります。
そのための更新データは概ね毎週発行されます。
※日本版ENCは月1回発行です。
更新データの取得については、CDの御送付もしくは日本水路協会の専用Webサイトよりダウンロードによって提供されます。更新データ自体には料金はかかりません(契約料に含まれています)。

※1 現在はS-63 形式で配布されています。S-63 形式はS-57 形式を S-63 規格で暗号化(不正コピー防止)したものです。
※2 ECDISとは国際海事機関(IMO)の性能要件に則った装置で、Electronic Chart Display and Information Systemの略です。

電子海図に関するお問合せ先

神戸営業所
TEL:078-331-4888 / FAX:078-392-4684
E-mail address:paperteam@molgroup.com
E-mail address:digitalteam@molgroup.com

本社(神奈川県横浜市)
TEL:045-228-8808 / FAX:045-212-3828